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注釈の多い憶良亭日記 (2005年9月)

2005年9月24日
ホントとウソ
ぼくは、言葉というものは原理的にウソを抱えていると考えているから、やたらと真実とか事実とか言いたくないという気持ちがある。まして政治家の雄弁などというものは立派で美しく公明正大で堂々としていて正義で非の打ちどころのない雄弁であればあるほどますますウソめいて感じてしまうから、雄弁を賞賛する人の気持ちが理解できない。

イラク戦争なるものが始められる少し前、テレビのニュースでサダム・フセイン大統領(当時)が、「大量破壊兵器なんぞ持っとらん。持っとったら持っていると言う」と発言しているのを見て、「多分このおっさん、ホントのこと言うとおるな」と感じた。別にフセインの人柄を高く評価して信じたわけではない。大量破壊兵器の価値は「攻撃抑止力」にあり、持っていなくても、「持っているんではないか」と相手に疑心暗鬼を植え付けることが有利なんであって、持っているのに持ってないと言ってしまうと持っている意味がない。しかも大量破壊兵器は反撃できない相手に使うと効果的だがそうでない場合にはかえってまずい。フセインも、大量破壊兵器をアメリカやイギリスの後ろ盾や黙認のもとに (反撃力の弱い) イラン人やクルド人相手には使えたが、米英豪相手に使っても戦略的に何の効果もないばかりか、3国の侵略を正当化させてしまう。逆にイラクに大量破壊兵器がなければたとえ米英豪が軍事的に勝っても、不法な侵略者ということになる。「フセインが大量破壊兵器を持っていない可能性は高いし、たとえ持っていたとしてもアメリカやイギリス相手に使わないだろう」というのがもっとも理屈の通る推理で、もちろん外れる可能性もあったが、フセインが人並みの知性を持っていると想定した場合にはかなり的中度は高くなる。ただしアメリカ政府は何が何でも戦争を始めるつもりだったから、理屈が通るかどうかはどうでも良かった。

結果が出てしまった今となっては「先見の明」をひけらかすことはできないが、米英豪を含めた関係諸国政府首脳の中で、イラクの大量破壊兵器問題について本当のことを言っていたのが唯一フセインだけだったというのは皮肉な話だ。

2005年9月14日
ページ名変更
「探偵日記」改め「ホーボー*1日記」とした。妻がぼくのことをいつも「ホーボー (放浪者)」と呼ぶから、なんとなくこの呼び名に愛着がわいてきたし、ぼくには「探偵 (detective)」よりもふさわしいという感じがしてきた。「中産階級*2独裁国家オーストラリアのホーボー日記」ということだ。
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*1 ホーボー (hobo) 北米英語だが、俗説では日本語の「方々 (ほうぼう)」が語源かもしれないということになっている。この地球の最果て地域 (OZ, NZ) ではスワギー (swaggie)、スワッグマン (swagman)、スワッガー (swagger) と言う。他にはバム (bum)、ベイグラント (vagrant)、トランプ (tramp) などの言葉がある。"swag" は、「((豪・NZ 話)) 身の回り品・料理用具・金物などが入れてある旅行者の持つ包み;伝統的には渡り労働者 (swagman) が棒で肩に担いでつるす風呂敷のような包み,または踏査者 (prospector) が肩に担ぐ巻いた毛布の類」。永島慎二のマンガに出てくる旅人君がこのスタイルだった。
*2
ここで中産階級というのは日本の「国民総中産階級」とは違う19世紀ヨーロッパの中産階級のような都市小商工業所有者や専門職を意味する。日本の「国民総中産階級」は単に労働者階級中間所得階層でしかない。

ブッシュ父子の休暇記念写真
亭主のところに右の写真が回ってきた。
水につかったニューオーリンズの町で釣りを楽しむ休暇中のブッシュ父子。思わずホンマモンの写真と錯覚した。よく考えればというか、よく考えなくてもホンマモンのわけがない。しかし、なぜホンマモンと錯覚したかと考えてみるに、「あいつならやりかねん」ファクターだってことに行き着いた。これもブッシュの人柄、風格、品性、人徳というものだ。こんな才能めったにないよ。ニューヨークの飛行機突入事件の時も、小学校訪問中に事件を知らされた後、そのまま子供達と会話を続けていたというし、今回も休暇中の牧場から出てこなかった。ブッシュの面目躍如というところだ。相方のコンドリーザ・ライスも、洪水の後、ニューヨークくんだりでショッピングを楽しんでいたと言われてしまうしな。
それにしても、「けしからん」とか、「しっかりやれ」と言う気にならないのはなぜだろう。ちっとも「しっかりやって」ほしいとは思わんのよね。「奴がしっかりやる」とろくなことにならないのだから。そもそもブッシュやその背後にいる薄暗い (ネオコンと呼ばれる) 陰謀家集団に道徳的な期待を持ったり、持ったふりをする気にはどうやったってならないし、西に、彼らに道徳的な期待を持ったり、持ったふりをしている人がいれば、「イッテ、ムダダカラヤメロ」と言いたくなる。余計なお節介だと思うから実際にはめったに言わないが。
おまけにニューオーリンズの洪水は神戸の大地震を思い出させる。政府の対応ののろさ、諸外国の支援申し出を「国内で対応できる」と一度は断ったこと、被害者が高齢者や低所得者、少数民族に集中したこと、裕福な階層は安全なところに住んでいて、比較的被害が少なかったというのも共通している。これは流行語の「危機管理」なんてテクニックで済む話ではない。むしろ「危機管理」という言葉には「ワイセツ物」を隠す前貼りのウサン臭さがある。
もし神戸でもニューオーリンズでも被災地域の住環境が整備されていれば貧乏人の被害が少なかっただろうか? そうはいかのキンXX。万が一住環境が整備されていたとすれば、
地域の地価が上がり、不動産価格が上がり、家賃が上がり、つまりは貧乏人には住めない地域になっているだけのこと。シドニーでも実際にそういうことを見てきた。市議会が貧乏人地区を「都市再開発地区」に指定し、不動産開発業者が入り、地上げし、その辺りがこぎれいでおしゃれで華やかになり、つまりこぎれいでおしゃれで華やかでクレジットカードをたっぷり持った人たちが歩き回るようになると、「目障りな」貧乏人達が締め出され、さらに辺境な多分真っ先に被災する地域に追い払われていくのだ。

それとも日本やアメリカやオーストラリアの政府や社会が突然「理想」に目覚め、自らの損得も顧みず貧乏人のために献身し始めると思うか? 東にそんな期待をする人がいれば、「イッテ、ムダダカラヤメロ」と言いたくなる。

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最終更新: 05-10-2005

 

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