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ハッピー・バースデイ
音節
君なんか好きになるんじゃなかった
御弓町小唄
あの人たちのメリーゴーラウンド
好きにならせないでくれ
ビールとウィスキー
知っていたのですか*1
姉さんの歌
麦畑の朝
*1 「田中研二 LIVE'74 & '80」 - シールズ・レコード |
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ハッピー・バースデイ
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1. そうして彼女は夢から覚めた
誕生日を一人で祝ったところ
冷たくなったコーヒーを流しにすてて
セーターの袖でくしゃみを止めた。
Refrain:
昨日がまだ見えないというのに
窓の外を明日が足早にやってくる
愛をその手に差しだせるのなら
悲しみと怒りにもそうしておくれ。
2. ずっと昔彼女の世間がいいふらした
気づかれなかった子供の毎日がゆく
恋するには老けすぎ死ぬには若すぎる
落ちるには高すぎるというこの世界だ。 |
3. 言われなかった言葉が今囁かれ
気まぐれなあんたたちに笑いをなげかける
夢の中ではそうとも彼女も自由だよ
でもこの世で彼女がみつけたものは。
(Refrain)
おお君の誕生日におめでとう
泣くには貧しすぎる年月ばかりに。
4. 彼女の腰のあたりで誰かがうずくまる
そうして彼女は誰とも手をつながない
そりゃたしかに子供っぽい間違いだったよ
あの足音を愛と取り違えるなんて。
(Refrain) |
音節
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1. 毎日のように向かいあわせに座り
こうやってご飯を食べていると
喜びだって悲しみだって無理やりに
喉に押し込むみたいなんよ。
2. 胸ときめくなんてのはそうざらに
あるんじゃないって事くらいはね
でもあんたの心が分かったと思えたら
それでお別れになってもいいんだよ。
3. こんなふうに他人と他人が
好きになって抱きあっていたって
死んでからもおんなじ墓の中で
ちんまり並ぶなんていやなんよ。 |
4. あんたの心が分かったら
そうほんの一瞬でも分かったら
私それでお別れになってもいいんだって
そう思えるときがあるんだよ。
5. 私に応えてくれないあんた
黙って手を伸ばしてくるあんた
それで何もかもが元のもくあみよ
で目の前真っ赤になるんさ。 |
君なんか好きになるんじゃなかった
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1. 君なんか好きになるんじゃなかった
あのまま一人で行けたのに
膝を抱え何かを待ち続けた日
青空と肩並べ歩いた日
いつか旅に出る日を夢見ていた
それもみな置き去りにした今
君なんか好きになるんじゃなかった
もう最後の別れを告げよう。
2. ゆっくり頭をめぐらし振り返り
桜咲く坂道から振り返り
コーヒーの湯気揺れるその向こう側
君は白い喉を鳴らす、ふふ。
ずっと昔君に出会っていたなら
テーブルのパンはじける遠い朝
君なんか好きになるんじゃなかった
でももう気にはしないだろう。 |
3. いつか見ようと言ってた一本の地平線
どこまでも深かった街の階段
額も頬も熱く燃やす恋人は
景色にクレヨン塗っていた
繰り返し愛の言葉、秋の葡萄の実
舌に転がし古い映画のよう
君なんか好きになるんじゃなかった
でも、夜明けにはこの道を行くよ。
4. シーツめくれる真白い別れの朝
もう君はどこへも行けないよ
遠くから来た男達が遠くへやって行く
その背中で空が傾きはじめ
いつか君の唄う時が来るだろう
ぼくのうすい血を噛んだ人よ
君なんか好きになるんじゃなかった
でもいつか会えるだろう、無事でいたら。 |
御弓町小唄
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1. 寺が多いから寺町と云い
弓職人の御弓町
夕暮れの匂いのする町並みを
自転車こいでく男がいる
いくつもの伝説に束ねられた
この時代を肩で振りはらい
振りはらう肩の空に立ち上る
のろしのひと筋ふた筋。
2. 禁じられた煙草に火を点けて
うぶ毛を震わせる少年たち
教室での誓いを破ったぼくら
教師たちの憎しみをあびせられ
ひまわり風に揺れる夏の日に
あいつらあっという間に年老いた
うつむいて笑ったクラス友達
彼等も今は敵じゃない。
Refrain:
おおいつか人がもっと若く生きられるとき
光の中を歩くとき
それまで君の力がうまく
隠されていますように。
3. 希望と友愛を売り歩く男の
洒落た口説き文句信じない
男が場末のバンドの唄うたいなら
ぼくら黙って立ち去ればいい
苦い魚を噛るように昔
ひとつの思いを呑み込んだから
はるかなメロディ何度めかのリフレイン
どんな唄にも慰めはない。 |
4. 誰ともうまくやって行けなかったから
僕は別ればかりを考えた
さようなら心やさしい町の娘たち
ありがとう、激しい雨の中で
九月になれば風も向きを変えるだろう
今は遠い五月の空
君はひとりの女の子に出会ったし
僕は寂れた町を歩いた。
(Refrain)
5. あれからもうどれくらい過ぎたのか
爽やかな朝が来なくなってから
ただ死んだ友達や別れた女たちの
行った朝ばかりが戻ってくる
女は葱の匂いその手の中で
雨に打たれた季節が行く
目を閉じ、君が眠るときそのとき
世界は声をひそめるだろう。
6. 酔っぱらえば君のサキソフォン
君の唄を吹いてくれ
首都から遠く離れた海べりの町
弓のようにたわむ空へ
この唄が君の町へ届いたら
一杯の酒に思い出してくれ
でも最後にひとつだけ知りたい今夜
風は何処から吹いてくるのか。
(Refrain) |
あの人たちのメリーゴーラウンド
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1. こうもり傘は雪の日の忘れ物
風が家々の戸をたたく
窓辺じゃ夜毎淋しい猫が
月に向かって鳴くと云う
夕空にはどこも店じまいする
ニセアカシアの並木道
山の下傾いて歩けば錦町
小樽の街のすぐはずれ。
Refrain:
電気屋さんペンキ屋さんはお天気まち
バイクに乗った大工さん
山に日の沈む頃あの店に来て
釣落とした魚でお茶を飲む
坂を昇ってあともう一息
海辺まで歩いてごらん
でも忘れないで立ち止まって
あの人たちのメリーゴーラウンド。
2. 運河の上を湿った風が吹く
博物館通りの向こう側
カモメが舞い降り舞い昇り
他には何も動くものはない
川のほとりに赤い煉瓦壁
苦いファイナンスの残しもの
この町より古いお年よりは
九十二年の話をする。
(Refrain) |
3. 昔ロッキー山脈を越えてきた
機関車も今じゃ塗り変えられて
シベリアの前線下る北の海岸
行く日も帰る日も知らないでいる
船乗りたちは船に乗って出たっきり
宿町は寂れるばかり
僕は船酔い水夫の顔をして
あの町の坂道を数えていた。
(Refrain)
4. このまま東京まで走って行ける
でも色内でバスを降りるのもいい
町があんなに古びて見えるから
誰も年とろうなんて思わない
ああ僕の住む大阪の片隅にも
寝屋川の湿った風が吹く
カビ臭い夜のたもとで唄うのは
小樽の人たちのことばかり。 |
好きにならせないでくれ
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1. 午後7時街のカーテンが引かれ
いつもの酔っぱらいもまだシラフのまま
ドアが軽く揺れ街の灯がこぼれ
その中静かに立つひとがいた。
Refrain:
どこかへ駆けて行きたい夜がある
どこまでもどこまでもこの街のはずれを
夜の闇にとけてしまうなら
どうかどうか好きにならせないでくれ。
2. 君の名前に一杯の酒を
君の唇にひとつの挨拶を
ギターがまだ鳴り続ければ
終わりには終わりにはまだ遠い。
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3. 頭が揺れ髪が花のように咲き
君に唄をどうかどうかほほえんで
この街最後の田舎者ひとり
灯りの下でもうひと仕事。
(Refrain)
4. もう一度ドアが揺れ街の灯がこぼれ
女のいたあたり振り返れば
ひとたちのあいだに空いたその暗がりで
僕がひとり酒を呑んでいた。
5. 扉を押し開け表に転がりでると
酒びたりのめんどりが時を告げる
コインを空に投げ通りを歩こう
もう一度彼女に会えるだろうか。
(Refrain) |
ビールとウィスキー
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1. あり金はたいて切符を買ったんだ
ぼくをもと居たところへ連れて行く
ああ東京街の熱い真夜中
停留所でバスを待ったのは。
Refrain:
ビールは苦いよ
ウィウィウィウィウィスキーも
いつかのおごり酒のよう
ビールは苦いよ
ウィウィウィウィウィスキーも
ライライララライ・・・・
2. 西の空に落ちた太陽追いかけ
今夜あんたの街から出て行くよ
スーツケースはひとつポケットはから
ハイウエイの看板がぼくに云うのさ。
(Refrain) |
3. さようなら、あんたはいい人だったし
ぼくにとっても良くしてくれたけど
今になってもなんとも云えやしない
どうしてこんなに離れて行くのかね。
(Refrain)
4. 窓にもたれて手紙を書いたんだ
もうしばらく会わない友達に
果てしないハイウエイは星空の下
おやすみおやすみ可愛い人よ。
(Refrain) x2 |
知っていたのですか
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1. 秋の取り入れの日のまばゆさで
田んぼの向こうから来たあなた
夕焼けの沈む学校の庭に立って、
空は昏く砕けそうだった
幾度かの野辺の送りをしたあぜ道や
祭の旗の並ぶ村の道が
あなたのまなざしの奥、ずっと奥に
どんなにくっきり曲がって続くのか。
2. あなたがぼくほどの年頃であった頃、
あなたには初めての娘がいた
ぼくがこの世に生まれてきた日には
とうにあなたがいたのがとても不思議だ
あなたの影に重ならないのが辛くなって、
いつか鋏を持ち出してみたりした
あなたに重ならないぼくを切り落とそうと、
でも落としたのは一握りの髪の毛だけ。
3. 知っていたのですか、まだ子供だった頃、
湿った布団から覗いていたのを
夜遅く、あなたの膝にからみついた蛭を
あおざめてはぎ取っていたあなたは
一人の余計者にしかなれなかったあなたが
かがめた腰から飛び出して以来
いくつもの時代と一つの戦争を過ぎてなお、
今夜もあなたは蛭をはぎ取っている。 |
4. あなたに尋ねたかったことがあふれそう、
でも尋ねるのはもうやめにした
台風の朝の木の葉のみずみずしさで、
あなたにもぼくにも分かっていたことだから
薄暗い電灯の下であなたの家族が、
そばかすだらけの背を見つめていた
あの夜、一人の女が泣いた夜、
どこかで一つの決意が鳴ったんだ。
5. しーんと闇の電線まで寝静まった夜、
ぼくはあなたに歌を書いている
何度目かの秋の取り入れの日に
あなたを傷つけた鎌のこと
あなたを待った迎え道で見た
上着に降りかかったチョークの粉のこと
あなたとの最後の喧嘩のことを、
あの時どうしてあなたは黙っていたんだ。
6. しーんと家族の寝静まった夜、
ぼくは一人で歌を書いている
白髪の混じり始めた股の間のこと、
飲んでも酔えないあなたのことを
あなたがこの世に耐えることを憶えた時、
ぼくには世界が耐え難かった
ああ、夢の中でも聞こえますか、
生まれたばかりの叫び声を。 |
姉さんの歌
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1. あなたは今夜どんなに思い出すだろう
子供の時代から追われた前の日を
僕がまだ野良犬の匂いをさせ
足音は鉄の階段のようだった頃のこと
あなたは庭の猿すべりの木の掟を
あくる日にはすっかり忘れていた
あなたはいつの間にか化粧水の匂いになり
そんなことに僕は怯えてばかりいた。
2. 淋しい女たちの家に生まれたあなたの
淋しい会話は親譲りだって
日曜日あなたがミシンをふんでいると姉さん
ほら空がゴーゴー揺れていた
あなたはスカートひとつひねると
人生ほどの背丈に伸びていた
壊れたオルガンをあなたが弾くとき
秋はまっすぐに落ちて行った。 |
Bridge:
泣いているのかあなたはそれとも泣いてない
笑っているのかあなたは笑ってない
すこやかな上に明るい目の姉さん
世界の半分をあなたにあげよう
3. あなたの長靴一杯の雨の滴
あなたのてのひらばかりの草っ原
思い出が暗く霞んでしまう昔
僕の知らない約束があった
少女のまま母親になっていくあなたが
振り返ろうともしなかった女がいる
国境いを越える旅人のように
やりきれない夜を越えて行く。 |
麦畑の朝
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1. それは遠くで泣く子供の声か
それとも畑で育つ麦の音
何かがこんな夜更けに僕の目を覚まし
夜のぬすっとのように姿を消した。
2. 今朝来た知らせじゃ友達がまたひとり
あの町の暗がりで死んだんだ
いつかここへ来ないかと君は言う
僕は今夜こうしてこの町にいる。
3. 昔のことは忘れちまいなと君が云う
みぞれのように生きて来たと云う
でも僕の言葉はかたっぱしから巻取られ
鏡にむかって君もまた年とって行く。 |
4. 君の歌がまだ歌われないままで
僕の話がまだ話されないままで
君はいっしょに旅に出かけようと云う
でも今夜だけはこうしてこの町にいる。
5. バンドが懐かしい唄をやっている
時には昔だけが優しく見えるもの
そういつか君と僕が出会ったのも
こんなにして雨の降る夜だった。 |